飲食店の開業準備は、物件探しやメニュー開発と同じくらい「内装工事の費用」が大きなテーマになります。厨房設備を含めた設計や、保健所の基準を満たすレイアウト、店舗イメージに合わせたデザインなど、やることが多く、かかる金額も決して安くはありません。
特に名古屋での出店となると、駅周辺や繁華街、郊外のロードサイドなど立地によって工事内容が変わるため、費用にも幅が出やすいのが実情です。また、居抜き物件かスケルトン物件かでも初期コストが大きく変わるため、「相場はどれくらい?」「なぜこんなに高いの?」と戸惑う方も少なくありません。
このあと順を追って、飲食店の内装工事に必要な項目や名古屋エリアでの費用相場、コストを左右する要因を整理しながら、納得して開業準備を進めるための視点をお伝えしていきます。
飲食店の内装工事で必要な主な工事とは
飲食店の内装工事は、住宅やオフィスの内装とは比べものにならないほど多くの要素が絡みます。ただ見た目を整えるだけでなく、「保健所の営業許可を取る」「厨房機器が安全に使える」「来店客の動線がスムーズ」といった複合的な機能が求められるからです。
まず最も重要なのが厨房関連の設備工事です。業務用換気扇やグリストラップ(油脂分離槽)、給排水設備、電気容量の拡張など、専門的な設備が多く、施工費も高額になりがちです。これらは保健所の基準にも直結するため、規格に適合した施工が必須です。
次に客席スペース。天井・壁・床の仕上げはもちろん、照明の明るさや配置、空調や防音対策なども含まれます。さらに、業態に応じた内装テーマ(カフェ、焼肉店、和食、バーなど)に沿ったデザイン施工が必要になるため、費用は広さよりも「雰囲気づくり」に左右されるケースも少なくありません。
また、トイレや手洗い場の設置にも注意が必要です。衛生設備は見た目以上に細かい規定があり、素材の選定や寸法配置を間違えると、営業許可が下りない可能性もあります。さらに、導線計画(厨房と客席の位置関係)を誤ると、オペレーションに支障が出てしまいます。
飲食店の内装工事は、見えない部分にこそ費用と技術がかかるのが実態です。
名古屋の飲食店内装工事、費用相場の目安とその背景
名古屋で飲食店を開業する場合、スケルトン物件で一から内装を組むと、1坪あたりおよそ10万円前後〜15万円以上が相場になります。これは厨房機器や排気・換気設備を含めた金額で、一般的なオフィス内装の2倍以上になることも珍しくありません。
例えば20坪の小規模店舗であっても、最低でも200万円以上は見込んでおく必要があります。これにデザインや家具・サイン工事(看板など)を加えると、300〜400万円台になるケースもあります。名古屋駅周辺や栄、金山などの中心部では、建物側の施工ルールが厳しいこともあり、コストはさらに上がりがちです。
一方、郊外型の店舗やロードサイド型のテナントでは、坪単価が若干下がる傾向がありますが、その代わり電気・水道・ガスの配管延長など別のコストがかかることもあります。さらに、テナント契約時に指定工事業者が決まっているケースもあり、自由に選べないことがある点も見落とせません。
また、「居抜き物件は安く済む」と思われがちですが、既存設備が古くて使えなかったり、動線が業態に合わなかったりする場合、むしろ解体や調整に費用がかかることもあります。どのような物件であっても、現地確認と見積もり取得は必須です。
飲食店の内装工事においては、「業態」「立地」「物件状態」の3つが費用の大きな変数となります。安易な比較ではなく、それぞれの背景を正しく理解することが、適正価格での施工につながります。
費用に差が出る3つのポイント:業態・デザイン・法規対応
飲食店の内装工事費用は、「同じ広さの店なのに全然金額が違う」と言われることがよくあります。その背景には、業態の違い、求めるデザインレベル、そして法律・規制への対応という3つの要素が大きく関わっています。
まずは業態の違いです。たとえばカフェやベーカリーなどは比較的軽装備でも営業が可能ですが、焼肉店や中華料理店のように高火力の調理を行う店舗では、排気・給排水・防火にかかる工事が格段に増えます。また、ラーメン店のように厨房が常時高温・多湿になる業態では、換気の設計や耐久性の高い仕上げ材が必須となり、施工の負担が大きくなります。
次にデザイン面。これは費用に直結する要素であり、壁や床の素材選びから照明器具、什器(テーブル・椅子など)に至るまで、どこにどれだけこだわるかで金額は大きく変わります。例えば、無垢材や左官仕上げなどの本格素材を選べば、同じ面積でも3割〜5割近く予算が増えることもあります。見た目のインパクトは集客に影響しますが、必要以上に費用をかけすぎない「設計バランス」も重要です。
最後に、見落としがちなのが法規対応です。飲食店は他の業種と比べて規制が多く、保健所の営業許可基準、消防法による避難経路の確保、建築基準法の用途変更の必要性など、事前にクリアすべき条件が多数あります。これらを満たすための追加工事が発生することもあり、それが費用を押し上げる要因になります。
このように、飲食店の内装費用は単純な坪単価では判断しきれません。どのような営業形態か、何を重視するのか、法的要件をどうクリアするのか。この3点を明確にした上で、無理のない予算配分と業者選定を進めることが、開業後の後悔を防ぐポイントになります。
業者選びで失敗しないために確認すべき4つの視点
飲食店の内装工事は、他業種以上に専門性が求められる分野です。単に「安く請け負ってくれる業者」ではなく、「飲食店の施工に慣れていて、開業まで伴走してくれる業者」を選ぶことが重要です。ここでは、依頼前に確認しておきたい4つの視点を紹介します。
ひとつ目は「飲食店の施工実績があるかどうか」です。住宅やオフィスの施工とは全く勝手が違うため、飲食店の厨房設計や保健所対応に不慣れな業者だと、思わぬやり直しや申請トラブルが発生する可能性があります。できれば業態が近い店舗の実績がある業者が理想です。
ふたつ目は「見積もりの中身が具体的かどうか」。工事項目が「一式」とされている見積もりは、後からの追加請求や内容の食い違いの原因になりやすいため要注意です。厨房設備、換気、電気、仕上げなどが明確に分けて記載されている見積書が望ましいです。
みっつ目は「物件の条件をふまえた設計提案ができるか」。たとえばガスの容量が足りない物件、天井が低い物件などでは、標準的な設計が使えないことも多々あります。そうした条件を読み取って代案を出してくれる業者は信頼できます。
最後に「開業スケジュールと工程管理の能力」。飲食店はオープン日が決まっていることが多いため、遅れが許されません。あらかじめ工程表を提出し、進捗状況を共有してくれる体制があるかを確認しましょう。
価格だけで業者を決めてしまうと、営業開始後にトラブルが起こることもあります。安心して任せられる業者を選びたい方は、名古屋で多数の飲食店施工実績を持つ内装業者への相談も検討してみてください。
▶ 詳しくはこちら:https://www.koshin9811.com/client
こだわりと現実のあいだで、納得できる店舗づくりを
飲食店の開業準備では、どうしても「理想の空間」に目が向きがちですが、限られた予算の中で最良の選択をするには、情報と判断基準が欠かせません。どこにコストをかけるか、どこで調整するか。その優先順位を明確にできれば、無理のない計画で納得のいく店舗をつくることができます。
名古屋には、立地や物件のタイプがさまざまに揃っています。中心地か郊外か、ビルのテナントか路面店かによって、必要な工事や求められる対応も異なります。だからこそ、経験と実績のある施工業者と早い段階でつながることが、遠回りのようでいて一番の近道です。
自分たちのコンセプトをどう空間に落とし込むか。それを一緒に考えてくれるパートナーがいれば、開業までの道のりも、より確かなものになるはずです。
▶ お問い合わせはこちら:https://www.koshin9811.com/contact