レストランの魅力は料理やサービスだけでは語れません。実際に足を運んで「また来たい」と感じてもらえるかどうかは、空間づくりにかかっていることも少なくありません。入口から席に通されるまでの流れ、椅子の座り心地、照明の明るさや音の響き方——それらのすべてが、食体験に影響を与えます。美味しい料理に加え、快適な環境が整ってはじめて、お客様の記憶に残るレストランになるのです。
名古屋のように飲食店が多く立ち並ぶ地域では、店舗間の競争も激しく、内装の印象が選ばれる・選ばれないを左右します。特に初回来店のきっかけは「なんとなく雰囲気が良さそうだったから」という理由も多く、空間の持つ“第一印象”は非常に重要です。外観から内装への流れが自然でありながら、他店とは違う「らしさ」があるかどうか。ここが成否を分けるポイントです。
内装は、単におしゃれに見せるだけの装飾ではなく、接客や料理と同様に「体験の一部」として設計するもの。だからこそ、しっかりとした考えと計画が必要です。
名古屋の飲食トレンドと内装ニーズの変化
名古屋の飲食業界は、地元密着型の老舗と、感度の高い若年層向けの新店舗が混在する独特な市場です。近年はSNSの影響もあり、視覚的なインパクトがある店舗が注目を集める一方で、「落ち着いて過ごせる」「食事に集中できる」といった本質的な居心地の良さが、再来店の決め手になるケースも増えています。つまり、単に映える空間ではなく、空間としての完成度が求められているのです。
また、名古屋では「昼も夜も使えるレストラン」が重宝される傾向があり、時間帯によって異なる表情を見せられる内装設計が好まれます。昼間は自然光を活かして明るく開放的に、夜は照明を抑えて落ち着いた雰囲気に——こうした使い分けができる空間は、利用シーンの幅を広げることにもつながります。
さらに、アフターコロナの今では、席間隔や換気といった衛生面の配慮も、内装の一部として設計に組み込まれるべき要素になっています。プライベート感を重視するニーズに応えるために、半個室や仕切りの活用など、空間の構成自体に工夫が求められるようになりました。
トレンドを押さえながらも、長く支持される空間をつくるには、一時的な流行に流されるのではなく、「誰に、どんな時間を提供したいのか」を軸に据えた設計が不可欠です。
内装工事の予算と工期、飲食業ならではの落とし穴
レストランの内装工事には、美容室や物販店とは異なる独自の要件があります。厨房設備や排気・給排水、消防法対応など、設計時点でクリアしなければならない技術的なハードルが多く、それらを考慮せずに進めると、後から大幅な修正や追加工事が発生しかねません。これが、内装工事の予算やスケジュールを圧迫する大きな要因となります。
費用面では、1坪あたり20〜40万円が相場とされますが、厨房を含むかどうか、排煙ダクトの設置状況、空調の新設有無などによって、大きく変動します。また、物件がスケルトンか居抜きかによっても、必要な工事内容はまったく異なります。特に築年数の古いビルでは、設備更新の必要がある場合もあり、見積りには余裕を持って臨むことが重要です。
工期についても、飲食店は開業日を厳密に設定することが多いため、段取りの遅れは致命的です。設計と施工を別会社で依頼した結果、連携がうまくいかずに引き渡しが延びてしまったという例もあります。さらに、保健所や消防署への各種申請が内装設計と密接に関係するため、行政対応に慣れた業者を選ぶことも、スムーズな開業への鍵となります。
「予算内に収めたい」「工期を守りたい」という想いは当然ですが、それを実現するには、表面の価格ではなく、全体設計と工程管理まで見通したパートナーの存在が欠かせません。
設計と施工の一体化が「雰囲気」と「安全」を両立させる
レストランの内装に求められるのは、見た目の美しさだけではありません。快適な空間であることはもちろん、火気を扱う厨房、複数の来店客が滞在する客席、避難経路や換気など、建築的な安全性と法令対応も厳しく問われる業態です。そのため、「雰囲気のいい空間にしたい」という想いだけで設計を進めると、後から現場で修正が発生し、時間も費用も無駄になってしまうケースがあります。
たとえば、開放的な天井にしたいと考えていたのに、建物の耐火基準に適さず仕上げを変更せざるを得なかった。あるいは、コンセントや照明の位置が現場条件に合わず、配置をずらすことになった。こうした例は、設計者と施工者の連携が不十分なプロジェクトでよく見られます。
一方で、設計と施工が一体となって進む体制であれば、初期の構想段階から「実際にこの場所で可能か」「費用とのバランスは適正か」といった現実的な判断が並行して行われます。さらに、厨房の機器レイアウトと空調の位置関係、非常口や誘導灯の位置といった細かい設計要件まで、図面の段階で整合を取りながら進行できるため、後戻りや設計変更のリスクが大きく減少します。
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事例に学ぶ、来店動機につながる内装づくり
「このお店、なんかいいよね」——そんな感想が自然と口をついて出るレストランには、空間全体に計算された意図があります。それは高価な建材や派手な装飾ではなく、訪れた人が心地よく過ごせるように設計された構成や、ちょっとした工夫の積み重ねです。名古屋市内のあるレストランでは、店内に小上がりの半個室スペースを設け、会食や子連れ利用にも対応しながらも、他の客席と視線が交差しない配置に仕上げることで、「気兼ねなく食事が楽しめる」と好評を得ています。
また、別の事例では、照明計画に力を入れた結果、昼は自然光がやさしく入り、夜は料理が映える暖色のライティングで、時間帯によって表情を変える空間が実現しました。このように「食事そのものを引き立てる内装」は、来店者の記憶に残りやすく、口コミやSNSでの広がりにも貢献します。
こうした空間を成立させるには、「ターゲットが誰か」「どう過ごしてほしいか」という軸がぶれていないことが大前提です。そして、その軸を空間に落とし込む設計力と、現場でその意図を実現する施工力がそろってはじめて、意味のある空間が完成します。
内装は、飲食店の魅力を伝える“無言の接客”ともいえる存在です。ただ見せるだけでなく、「また来たい」と思わせる背景には、計算された空間設計があります。事例を知ることで、自分の店舗に必要な要素や優先順位が見えてくるはずです。
「コンセプトを形にしたい」と思った時に考えるべきこと
レストランの開業やリニューアルを検討する際、「どんなコンセプトにするか」は頭にあっても、それを空間にどう落とし込むかまでは見えていないことがほとんどです。けれども、その曖昧な段階こそが最も大切であり、適切なパートナーと話し合いを重ねることで、輪郭のある計画へと変えていくことができます。
理想の空間は、一足飛びに完成するものではありません。素材選び、照明計画、動線設計——どれも細かな判断の積み重ねです。だからこそ、最初の段階で「信頼できる設計・施工のパートナー」と出会えるかどうかが、その後のすべてを左右します。
今まだ方向性が定まっていなくても、「こういう雰囲気にしたい」「こんな客層に来てほしい」といった感覚があれば、それは立派なスタートラインです。そこから一緒に考え、形にしていける相手を選ぶことが、満足のいく店舗づくりにつながります。
>内装相談はこちら:https://www.koshin9811.com/contact